あの人のこと。/黒蝶
あたしを分かってくれたあの人が愛しいの
涙はいつか涸れると思っていたけれど
それは無理みたいで
この想いもなかなか消えてはくれないの
弱い弱いあたしでごめんなさい
ごめんなさい
すぐに忘れてしまうと思っていた手の温もりを
未だに忘れられずにいて
いつまでも いつまでも 過去に縋って
【明日】という日が来るたびに薄れる記憶が
【今日】という日が過去になるたびに強くなる想いが
あたしの頬を濡らして
あたしの頬を濡らして
あの人の温もりを覚えている今
涙はこんなにも冷たかったのかと
あたしはまた
ねぇもう少し 近づけるだけで良いの
想いを伝えても良いのかさえ分からないから
ねぇやっぱり 詠にして表わすしかないの
どうしてこの想い 溢れさせずにいられましょう
未だにあの人からの返事はないのです
だけどもう少し 待ってみることにします
戻る 編 削 Point(1)