あの人のこと。/黒蝶
 

あたしを分かってくれたあの人が愛しいの
涙はいつか涸れると思っていたけれど
それは無理みたいで
この想いもなかなか消えてはくれないの

弱い弱いあたしでごめんなさい
        ごめんなさい

すぐに忘れてしまうと思っていた手の温もりを
未だに忘れられずにいて
いつまでも いつまでも 過去に縋って
【明日】という日が来るたびに薄れる記憶が
【今日】という日が過去になるたびに強くなる想いが
あたしの頬を濡らして
あたしの頬を濡らして

あの人の温もりを覚えている今
涙はこんなにも冷たかったのかと
あたしはまた

ねぇもう少し 近づけるだけで良いの
想いを伝えても良いのかさえ分からないから

ねぇやっぱり 詠にして表わすしかないの
どうしてこの想い 溢れさせずにいられましょう


未だにあの人からの返事はないのです

だけどもう少し 待ってみることにします


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