初めての死/明楽
 
幼い頃お父さんは万能だった
何でもしてくれて
出来ない事なんて
何にもないと思ってた
そんな私一人の思いこみを忘れた頃
それと私は向き合った

朝起きたら動かなくなっていた鳥を
季節はずれのチューリップの葉で包み
裏庭に埋めた初秋の日
猫がくわえていたのを友達と奪い取り
けがをしていたから
鳥かごに入れて世話をしていた
三日目の朝の事だった

「死んで、もうこの世にはいない」
陳腐な言葉で死を受け止めようとした
ちょっと淋しいぐらいの気持ちだった
夕方ご飯を食べてから
朝 鳥を埋めたところを掘ってみた
もう一度姿を見たかった
出てきたのはチューリップの葉と
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