死んだ体は宙に浮いて/蔦谷たつや
死んだ体は宙に浮いて
おおきな地すべりがおこった
すべての水が渦をつくれば
奇妙なノイズが響きに響いて
がらんとしていた都会の向こうで
明かりがついてはきえて
ついてはきえた
突然―
死んだ体は宙で回って
汚れたかみなりが落ちた
すべての愛が悪に目覚めて
犬の鳴き声響きに響いて
がらんとしていた都会の向こうで
煙があがってはきえて
あがってはきえた
突然―
死んだ体は泣き出して
ぼくは死んではいませんと
ぼくは死んではいませんと
聞くものはだれも
いなかった
死んだ体は泣くのさえ忘れて
ぼくは死んではいませんと
ぼくは死んではいませんと
聞くべきものはみんな
死んだ 死んでいた
突然―
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