パントマイム/青井 茜
 
指の動きでドレミを造った
見たことのない音
奏でることに夢中だった
 
 
何に夢中なの?
そう聞いて返ってきた言葉に
私は膝を抱えた
 
寂しいからじゃないよ
 
 
 
相変わらず指はドレミだけ
その先はまだ知らないから
ゆっくりでいいから教えて
 
 
 
おねだりはいつだって無意味で
左手はあなただけのものだった
 
激しい感情と共に
少しファの音が雑じる
 
嫌、だった
 
 
いつまで経っても言い切れない
その呼吸方まで見透かして
空(ソラ)って奏でるのは苦手
 
 
 
次は死(シ)だよって言う
怖かったの
 
 
 
気付かないふりして
必死に詩(シ)を
 
 
 
 
 
 

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