星空に足音/真山 仁美
星に飲み込まれていくのは 足音しかこの世に聞こえなくなるから
誰にも邪魔されない たった一人の夜道になる
ヘッドライトは僕の見せたくない部分を照らし そして流れていく
非常灯はチカチカとあの世への滑走路のように僕をいざなう
白んでくる朝は 次に向うべき夜への架け橋になり
その夜の闇は暗雲によって隠され 風雨によってごまかされる
自分の気持ちさえ伝わらない 伝えてはいけない
誰のための言葉か、声にしたとたん闇に紛れていき
僕の本心の言葉なのに、文字にしたとたん三人称になる
こんな雨の日は 大きな闇が僕を食らい 脳を侵食するかのよう
こんな寒い日は 小さな涙が頬をつたい 僕の心をなでていく
こんな日には足音が聞こえなくなる 雨が持ち去るから
星が見ていないから みんな雨が持ち去っていくから
夢も 希望も 過去も 未来も 愛も 僕の足音も・・・・・。
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