夜のプールサイドで君は/ふくだわらまんじゅうろう
 
こんなふうに暑い日が続くと
思い出すことがあるんだ
外には夏の光が溢れて
田圃の青も
入道雲の白も
痛いくらいにくっきりと鮮やかに立ち上がる季節に
俺はただ
泳ぎたいだけだったのかもしれない
中学時代の悪友と
あるいは腐った大学の後輩たちと
呑んで日が暮れて次の店に行くまでの道すがら
通りすがりだか母校だか
小学校だとか中学校だとか
塀を乗り越えてフェンスを乗り越えて
夜の闇色に寝静まったプールに忍び込む
守衛の懐中電灯を目の端に外さないように
だけど過敏に神経の束を欹て過ぎないように
25メートルプール

あっちの端と
こっちの端に
バーボンだとかスコ
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