即興詩会:第4回(夏の陣編)/ワタナベ
 


(シャキリ、シャキリとまたたきながら

タァルは肺胞の隅々まで
影のように染み
また煙は部屋のくらがりのように
そっとぼくの背中をなでる

新たに煙草に火を灯す

(シャキリ、シャキリとまたたきながら

ぼくが背中におおいかぶさるくらがりを
厭うならば煙草を吸わない
煙草を吸わないぼくの肺胞は
健やかに酸素を取り込み
タァルを駆逐していくだろう
ゆっくりと時間をかけて

そのようにしてぼくの胸は上下し
そしてそのようにして
ぼくは生きている

○櫛田鶇吾
「煙草を吸わない」

快晴の肺胞に
小鳥たちが
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