即興詩会:第4回(夏の陣編)/ワタナベ
なに詰めたら冷えないだろうというくらい一杯にミネラルウォーターは詰まっていて、何かの(もしかすると、たぶん寒気のするような)理由があると思って絶句していた俺は驚いた。飲むのか。なんのメタファーでもなかった。ミネラルウォーターはやはりミネラルウォーターに過ぎず、それは飲料水として日々普通に、ごく普通に飲まれ、減った分は補充されていた。それだけだった。だから俺は冷蔵庫一杯にミネラルウォーターを入れている。普通に飲むために。来客はたまにしかないが、皆無と言うわけでもなく、冷蔵庫を覗き込んで絶句するやつも勿論いる。俺はそいつらに向かって、飲むかとただ訊くだけだ。
○櫛田鶇吾
「ミネラルウォータ
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