おおきなおくちで/青井 茜
 
 
 
泣きたい程のマリンブルーに
笑っていられるようワインレッドを
飽和するくらいまで混入したら
遠い地に足をのばそうか
 
 
そんなに見ないで と
自意識過剰が騒ぐから
地下鉄の切符が走って逃げた
駅員さんはただ喘ぐだけ
 
 
ようやく飛び乗った車内では
つり輪が構ってと呼んでいた
人差し指と中指でダンスを教えて
停車直前まで舞踏会を楽しんだ
 
 
降りは難無く改札を抜けて
名前も知らない土地にかかとから着地
入る時は右足からがジンクスで
力が入った靴はいつも片方だけ削れた
 
 
何処に向かっているかわからなくて
とりあえず空に行こうと思った
もちろん飛べるわけはないから
想像上の問題であることは確実で
 
 
結局あたしのいる場所は把握出来なくて
さっきの私の脳内濃度
マリンブルーとワインレッドが
纏わり付いて離してくれなくて
 
愛おしくて 愛おしくて
 
 
 
島ひとつ飲み込んでしまえる
それぐらい大きな口で
愛を囁き続ける
 
あたし で
ありたい
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