暑い一日/なかがわひろか
あまりの暑さに
体が溶けだした
それは両足から始まった
僕はそこから動けなくなった
そのうちに体全体が溶けていった
僕は完全に溶けてしまった
でもいいさ
今日はこんなに暑いのだから
僕のような人は他にもいる
僕の体はアメーバのように広がった
とにかく涼を求めて
僕は広がった
向こうから同じように
溶けてしまった女の子がやってきた
僕らは一部混ざり合った
それほど悪い気分じゃない
突然軍隊のような服を着た何人かの人たちがやってきた
彼らはみな人型を持っていた
彼らは溶けてしまった僕たちの体を人型に流し込んでいった
僕はいろんな人型に分散した
僕の左目は近所のおばあちゃんのものになった
僕たちは凝固するために冷たい部屋に入れられた
どうやら冬が来るまでここで固められるようだ
なんにせよ
あの暑さから逃れられたのならまあいい
もうすぐ冬がやってくる
(「暑い一日」)
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