夏の日の幻想達 十一/soft_machine
テーブルに置き忘れたメモが朝を捉え損ね
誰かの起こした風に遊び散る
それは断層にしがみついた学者の手の中で
ありふれた三葉虫や瑪瑙にうまれ
ひとつとして同じ気配でないが
またとない程の発見でもない
それでいて
子ども達の笑いを閉じ込めたしゃぼん玉のだ
スーツ姿の女が軽く固い足音で過ぎてゆく
異国の友人がモップを繰る生活
それは誰の人生にも交感できず
決して交わってならないことを知っている
人は労苦する傍らの無言であっても生きるもの
それを打ち鍛え詩に相応しくなるよう糾すのが務め
生きて安らかでなければ
あめ玉に閉じ隠めた思いを包みから解きほぐす
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