夜は明かすんだ/葉流音
 
 
明けない夜に
閉じ込められて
ひとり私は
 
慣れない煙草に
火をつけた
ライターを持つ
手が震えた
吸う為ではなく
 
窓は開かない
錆びてしまっていて
 
横たわったフローリングが
冷たくて
 
充満した煙に
少しだけ安堵した
 
 
殴れよ
割ればいい
 
 

と気付いたのは
しばらくしてからだ
 
 
殴れって
 
 
からかうように
聞こえる
 
立ち上がった
窓と、向き合う
 
 
夜を、殴れよ
 
 
拳をつきだした
 
 
 
朝が、きた
手が少し赤くて
 
私はにっ、と
笑ってみた
 

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