ヤツカハギ/月見里司
 
石を投げた、どうせ届かないし)
カサリちゃんが好きになってしまったけど
漢字がわからないと相談されたり
僕にもわからない

そもそも、お前の名前がどんな字かわからない
 すねが八つかみあるからヤツカハギだ
お前それよりでかいじゃないか
 生まれたときはそのくらいだったんだ、育っちゃ悪いか

ヤツカハギは大きい以外普通の友達と変わらなかった
でも、ドッジボールはできなかったのだ
二人じゃ勝負にならないから

僕が大きくなって、あぜ道のない町に引っ越しても
ビルとビルのすき間から
ヤツカハギは時々頭を出している
もう投げてやる石も落ちてないんだ
と言った僕と
すっかり大きくなった僕やカサリちゃんが
自分よりずっと小さいことを知っているヤツカハギが
人間の顔で笑っている
同じ大きさに見えるくらい
遠くで


//2007年8月8日
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