13時の雉/あおば
だいだい色の派手なチョッキを身につけて
長身のヤマカガシが慌てて駆けていく
私たちの足音に驚ろいて
くねくねと小刻みに男っぽく腰を振り
短く刈りあげられた堤の上を
後ろ姿が一所懸命駆けていく
ダンディーな奴だなと思っていたら
後を歩く17才の男
なんだヤマカガシか
シマヘビは美味いんだ
そんなことを口にする
拗ねた目が南側緩斜面を隈なく走査して
シマヘビをこんがりと焼いている
日当たりの良い堤の上は
爬虫類がよく似合う
ごろり仰向けに寝ころんで
真っ青な青空を見てから
太陽がまぶしいので目をつぶる
春だけど5分間で火が通る
ああ、これで十分だ
満足して目を開けると
白銀色の清楚に輝く桜の花が
涼しげな目つきで私たちを見ている
今年初めてダンディーなヤマカガシに会った
美味しいシマヘビはいなかったが
藪の中では雉が迷惑そうにこちらを見ていた
旧作01/04/14(Sat)
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