蝋燭の灯 /
服部 剛
お香の煙が立ち昇る
傾き揺れる炎の指さき
すうっとのびて
天をさす
*
蝋燭(ろうそく)は
人と似ている
明かりを灯し
身を溶かし
やがて
消えて無くなる
揺れる炎の内に
立つ芯(しん)は
倒れることなく
合掌する
小仏の影
*
蝋燭は
自らを生きるほど
泣いている
白い体に伝う
溶けた涙を
流しながら
揺らめく小さい炎の顔は
自らを失うほど
喜び
踊っている
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