レインフォール/
月見里司
少女がこちらを向く。私は少女
の顔を)
随分と強くなった雨はチャンネルの狭間のような音を立てている。数本だけ植えられた
背の高い広葉樹がノイズ混じりの風に煽られてざざ、と震え、鏡像はうつろな目でこちら
を見る。傘を差し、灰色と濃青の緞帳に背を向ける。側にあるベンチの下に段ボール箱が
置かれていた。口は開いていて、汚れきった青い薄手の毛布が敷いてある。中身は、入っ
ていない。
//2006年5月25日 「文学極道」投稿
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