< 生 活 >/ポップこくご
に
少し変調をきたしながら母船へ戻る
だあれ?
うん、親父、
一瞬ながら周囲の時は止まり
今やヨタヨタと最徐行するふたりの行く末を案じる
単独行を望まぬ初老の親父は
よどむ空気を切り裂き電車道
彼女て お前 紹介も なしか?
うん、 ナカタニ さん、
大きく狂いだしたふたりの時間軸のいちばん端っこのところで
ハジメマシテ
と初交信
今や母船のない一団は
進まず 退かず 止まらず 笑わず
ただ発信源もないのにひたすら指令を待つ
ひるむな青年
世界一美味なるものを 口にする前に
さばかねばならぬものが目の前にあり
美味しいよと微笑む前に
彼女をもっと その気にさせる課題が
この空間にこそ存在するのだ
安い惣菜と発泡酒をぶら下げ
中途半端な月光の下
僕は家路をたどる
俺にもそんなこと あったのかもね
ずいぶん昔で 忘れたけれど
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