熱砂/月見里司
纏わりつく感触の群れに足を止め
アスファルトに革靴を叩きつける
ごぼごぼ夜が沸きたつ
燃え尽きる花火の匂いに
車が一台、点滅する信号
止まり、あるいは駆けて
生まれる空行と
なつくさはすべて溺死している
腐った音でガタガタと硬質に、
せめて睨みつづける
気温二十八度
午前一時二分
生きてゆける
気圧など知らなくとも
夜目が利かなければ
モノトーン、砂嵐が
僅かな月をも、食む
部屋のドアを開けたとき、いつも見知らぬ私が居る
目も鼻も揃った私を見て、とぷんと私の日は暮れる
//2007年7月29日
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