二階の一室で/青井 茜
 
ざらついた視線に
一雫を落として
クローゼットの横にいる誰かに
「こんばんは」
 
乱雑に置かれたぬいぐるみの
大きな瞳にも息は宿って
カーテンから漏れる光に
時間差の
「こんにちは」
を注いでる
 
 
脱ぎ散らかした孤独を
親指で潰して
痕の残るフローリングに
そっと舌をくぐらす
 
並列して敷かれたクッションの
柔らかな弾力にも時は踊って
パソコンから聞こえる色に
(止まりかけた)
動機を宛てがう
 
 
 
変になまめかしい星は
チラリズムを繰り返し
少しだけ湿った髪が
それに触れようと跳ねる
 
 
カチカチと鳴らすだけのシャープペンシルは
今ある全てに愛を書き込もうとしている

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