黄昏/見崎 光
ぶらんこが 揺れていた
夕暮れの校庭
静けさが影を落とし
風に
ぶらんこだけが
そよいでいた
なんとなく
ただ
なんとなく
寄り添って
いっしょに
泣いてあげただけ
あなたと あなたが
笑った
つられてわたしも
笑った
ぶらんこは
ゆっくりと
揺れた
薄暗い校庭で
蜩と私と ぶらんこ
風は
短くなった髪を
なびかせていた
どうしても
そう
どうしても
立ち寄って
いっしょに
揺れていたかった
あなたと あなたが
愛した場所で
幻と遊び終えた頃
駆け寄る子供達に
手をひかれ帰る
鼻歌だけを残して
空には微かに星が煌めいていた
ぶらんこはひとり 眠りについた
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