空飛び死人/なかがわひろか
 
私は死んだので
私の体を抜け出した
いつか死んだらきっと飛べるだろうと思っていたから
私は飛んだ
町中を飛び回った

何人かの人と目が合った
けれど何も尋ねられなかった
飛ぶことができるなんて
きっとすごいことだと思っていたので
拍子抜けした

私は私のお葬式を見た
業者の人に任せたらしい
滞りなく式は進み
時間通りに終わった
私の写真もそれほど悪くなかった

私は私が焼かれるのを見た
死体は臭いにおいがすると言うので
鼻をつまんでいたが
あまりにも高温だと
においさえも焼けてしまうのだと知った

私は骨になって
壺の中に入れられた
そのままお墓
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