Cの練成/
蒸発王
切っ先に
小さな炭の拳が乗せられた
黒い弁当箱
其処に彫られた
見覚えのある
『彼女』の名前
ああ
なんだ
こんな処に居たのか
風に舞ってく
黒い粒子の彼女
ギリギリ
目に見える
其の
炭素を捕まえて
構造式を
いじっくって
ダイヤモンドに
換えてしまったら
美しい
輝きに換えてしまえたら
彼女は喜ぶだろうか
掌を虚空に伸ばして
降ろした
粒子の彼女は
しばらく
宙を舞って
すぐに
消えた
雨が降ってきたと思ったら
涙だった
『Cの練成』
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