森園/nm6
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その森園にさえずるのは、鳥ではない。この降り続く雨が、パラホロロパラホロロとポリフォニックなリズムを刻んで増幅して、ぼくらはいつのまにか、見えない明日へ見栄を張るため消えている。水滴をのぞきこめばひろがる緑に、満ちあふれるジャズと甘くしめる匂い。夜の隙間に月光がふらふらと踊らせてくゆらすのは、葉だ。
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ぼくが好きなのは3クラスの森園さんで、決して2クラスの佐藤さんではない。森園さんのことだけ考えていたときにはこんなことはなかったし、吐きそうなのは生理現象なので仕方なくて、つまりぼくらは、決して刺激を求めてなんかいない。今もぼくらに、止まらないクラスルーム。手を挙げてここにい
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