数多のあなた/ワタナベ
 

それらに包まれた


砂浜に沿って走る国道の
街灯の下で見つめる
わたし
国道に車はなく
遠く影のように横たわる山際に見えなくなるまで
街灯が等間隔に並んでいる
わたしは
オレンジ色の明かりをたよりに
僕を包む天球体と
僕を描いて
そっと
ノートを閉じる

塞がれたまぶたに
遮断されたことばたち
わたしがすべてを愛する
それはなにも愛さないということ

そして
わたしはすこしずつ
目をひらく
あなたの一遍のことばが
そのイメージをたち現せ
まぶしく瞳にうつる
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