中野島/大村 浩一
 
耐えられなければいつ帰ってもいい
それで君が生き延びられるなら
壊れた玩具みたいに君を投げ出した男と罵られても
いっこうに構わない


でも今は君を連れていく
この 干上げられてゆく都会の
最後の楽園へ
マンションに包囲されながら
奇跡のように生き残った
ちいさな田園のそばへ


(いい風が吹いてきた)
(盛りの女の髪のように稲がなびいた)


君を連れていく
「責任を取る」と偽って


君を連れていく

君を連れていく


酷い話だ


2007/7/23
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