飛行詐欺/ロカニクス
 
飛行機を知らない人と轍を踏む
想像よりも柔らかい轍だった
この先に飛行機があるんだよ
そう言うと向こうは深く頷いた

生まれたときから教えられた通り
正しく騙せば
一族は末永く恵まれる
静かな空ばかりの一本道に
似合わない大業であった

沼地にさしかかる
蛙が一切をみつめている

飛行機は凄いんだろうね
絵本で一度見たことがあるんだ
鉄の翼でできていて
海を渡るんだろう

童話的なパスカルで
灰色がかった鳥
水に沈んだように頭に浮かぶ

かすれた直線 飛行機雲

他に何があるのか
お前には目的地があるのか

失敗するわけにはいかない
薄黄色い荒野に似合わない
整備された階段
全てはこの日のためにあった

ここを上るとあるんだよ
震えないように言うので精一杯だった

軽々と無邪気な頃に戻り
一段飛ばして駆け上がる
そしてそのまま真っ直ぐ海へ

落ちなかった

遅れて上っても落ちた破壊音は聞こえず
青の中純粋な鷹が一羽雲を目指していた
こうして大業は終わった 絵本の中


戻る   Point(14)