マミについて/ワタナベ
マーミー
悲しい詩を詠ってはいけない
高原に咲く白い花が
ときおりふくかすかな風にゆられて
りんと鳴るその音のように
僕たちが幸せについてささやきあうとき
高原からのびあがって
どこまでも広がる青い空の底を歩く
くるぶしをくすぐる雲のやわらかさに
わらいながら幸せについてささやきあうとき
バス停で
かたむいた時刻表を見ると
怠惰な数字がごちゃまぜにならぶ
見上げた白い月は
無表情で僕を見下ろす
バスから吐き出される人はおらず
飲み込むばかりで飽和してゆく
振り子のようにゆれる車内で
高原の花と雲について
メールをうつ
それは中継アンテナで
造花と白
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