余命1ヶ月の花嫁/見崎 光
欠落していく魂の中で
必死に描く記憶と
不安定な陽射し
歪む蜃気楼
細めた瞳の先で
薄く細い奇跡の糸を手繰り
編み込んでいく明日
儚い音色は
ステンドグラスを彩る様に
優しく響く
純白の絹を纏い
誓いを飾るシーン
君は…
眩しい一等星
行き場のない憤り
握り締めた手に余韻を辿らせ
雫の零れる無音の契り
愛せたコト
出会えたコト
紡げたジカン
月光が包み込む柔らかな魂
瞼に刻む画は
一瞬をも手離さない様に
温もりを載せていく
輪郭が濡れたままの追憶
褪せない想いと共に
送る夕陽は切なくて
哀愁に鳴く蝉
拭い去れない影法師を
ただただ抱きしめて
取り繕う頬に重ねた
『いま君は、どんな幸せと…歩いていますか?』
ぽっかりと空いた穴を
持て余しながら
雲間を抜ける陽射しを
待っている
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