Flower/なかがわひろか
 
湯船の上にぽちゃんと咲いた彼岸花
天井から落ちる水滴が
少しでも、少しでも
薄めようとして

私はまた一つぽちゃんと
花を咲かせます

ぽちゃん
ぽちゃん

少し遠くで
父の声が聞こえます

私は真っ赤に敷き詰められた
花の絨毯の上を
父の手を取り歩くのを
思い浮かべて

ぽちゃん
ぽちゃん

赤い彼岸花の先の
父から私の手を渡される
その人の
夢を見て

(「Flower」)

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