初夏の人/A道化
 






あなたを睨む

眼が痛む


守り隠すように
あなたは柔らかな腹部を下にして
その為に息苦しい眠りの上表には
あなたの背が波打っている
私は扇風機を止める


睨む、と、痛む
その為に睨み続ける
あなたの背は
あなただけのものだから、ただ、
睨み続ける


ああ、
なんとなく扇風機を止める
あなたというものが未完成な夏であって
あなたというものが未完成であることを
睨み続け、痛み続け


睨み続け
痛み続け
綿密に許す私がいる


許す私から漏れる
初夏、という発音が
すんなりと、あなたの波打ちへ消える



2007.7.9.
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