白い短冊 /
服部 剛
地下道の便所の前に
何も書かれていない
真っ白な短冊が
くしゃりと折れて
落ちていた
無人の通路に
夜の靴音を響かせながら
便所を通り過ぎる
Tシャツの背中を
なにかに
引っ張られている気がした
戻る
編
削
Point
(10)