涙腺/千波 一也
 



 かがやいてしまう星の名を、
 つなぎ留めたかった
 防波堤



かなえたものは

夜を、
彩ることの、
つづけざまの果て、

失うはずなど無いというのに
のがれるすべを誤って

月に
飼われた
従順なる、目


 しずかに
 枕が燃えゆけば
 だれかの夜はあたたかく、
 いつかのゆめには
 漆黒の、ゆき


破るところから
ていねいに
くるみ、

やさしさが、齢(よわい)


銀の鱗の
命ずるままに



 麻酔のような
 ぬくもりを
 凪ぎ、

 ことばをわすれ
 ないている


 鳥と
 さかなに
 わけ、あ、たえ、










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