まぬがれ/錯春
 


 
 若い頃の私
 若い人と睦みあった が
 無知だったので
 性欲を昇華する術を持たなかった
 仕方なく、一緒に並んで座り
 土手の風はさやさやと
 耳の中の産毛を撫でながら右から左へ抜けていく
 寒い土地だから虫が出るのが遅く
 若い私と若い人は暮れるまで河原沿いに
 うずくまり
 無知だったから風通しが良く
 無知だったから膨らんでいた
 若い人のゆびは、私のゆびにそっと重なり でも
 でも、手に手をとって
 手の平をお互いの湿気で湿らすことはなかった
 無知だったから
 触れるのはくちびるだけで
 そこはいつだって火照ってるのに
 カサカサに乾
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