音信/ku-mi
 
一筋の夢
指で先を足していく
空には届かない
私の背伸びでは届かない
そのまま
ぷつん と途絶えた
音信

首元がさむざむするから
結っていた髪を切った
ただそれだけのこと
今朝の陽が
梅の花を咲かせたわけではないように

近所の子供のはしゃぐ声
2重飛びの縄音
夕刻を告げるサイレン

進むことしか出来ない時間の中で
私はずるをしたくなる
懐かしい小道を歩きながら

「いらっしゃい」
裏口から顔を出した祖母が
そのしわしわの手で
おかっぱ頭を優しくなでた
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