断崖の花/あずみの
 
絶壁のコンクリートの僅かな隙間に 
いのちを宿した君たちは 
迷うことなく天を目指して 
もう背丈よりも大きくなった 
直角に身体を曲げて上へ上へ 
ひたすらに迷うことなく 
君たちは目指すべき方向を知っていた 
やがて朽ちて枯れるまで 
留まることなく天に向かって伸びるのだろう 
迷ってばかりのわたしとは大違いだ 
どちらが前でどちらが後ろかも 
もう分からなくなってしまったわたしに 
君たちの姿は羨ましくも輝かしい 
人が断崖の花に惹かれるのは 
そこに迷いのなさを見るからかも知れぬ 
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