イメージ・猫/ワタナベ
をぴくぴくさせて
野のくらがりへ消えてゆく
クリーニング屋の前で奏でられる低音に
店の明かりは紛れて
灯の落ちた街並みの風景に溶ける
砂浜は静かに回転をやめた
その度に猫はひげをぴくぴくさせて
一匹、また一匹と野のくらがりへ
僕は夢を見る
部屋の隅から聞こえるウッドベースの鼓動の夢
それは一番太い弦の鳴らした夢で
同時にすべてが凝縮された街並みの夢
低い、ささくれた神経をなでるような音色で
鳴る夢に
すすきの野は凪いで
四本の弦のウッドベースの上で踊る
一匹の猫の夢
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