夏の骨/今唯ケンタロウ
一
どことなくうすぼけたひかりのてらす、砂浜だった。
ここには、風のふくけはいがない。うち寄せる波もない内海がひろがる。海は、あるいは死んでいるかのようにしずかすぎたけど、海面はわずかにゆれうごいている。
海も、砂浜も、とおくのほうになるとしろっぽくにごって、よくけしきがみえなかった。町のかげもない。
ちいさなあしおとがとてもよくひびいて、何人かの子どもたちがかけてきた。
すがたは影法師のようで、顔は、しろいひかりにあてられ、よくみえない。話し声もぼそぼそとしてききとれないけど、ただほんのかすかに笑い声がききとれる。
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