パソコン通信の思い出 3/渦巻二三五
しい時間でした。
作品一覧が名伏せで発表されると、いつも「これは、とてもかなわない!」と打ちのめされるのですが、すぐに気をとりなおして、選にとりかかります。一つ一つ鑑賞し、歌や句の一文字まで、しゃぶりつくすように読みました。短歌や俳句といった短い詩形だから、そのように読むことが必要なのだと自然とそう思っていましたが、私が詩を読む読み方はこのときからあまり変わっていないと思います。
助詞一つで意味が違ってしまう作品に時間をかけて向き合うことができた、このときの経験は実にありがたいものだったと思います。
歌句会の結果発表はそれはそれは待ち遠しいものでした。
歌句会の醍醐味は自作の点数の多寡ではありません。発表の後に行なわれる参加者のやりとりなのです。
自分の作品について他の人の評を読んで気づかされたり、選をした作品でも自分の読みの浅はかさや誤読が明らかになったり、あるいは、逆に自分が推す作品の良さを主張することもありました。
私は、作品を読んでもらう嬉しさとともに、他の人の作品を鑑賞する面白さを知ったのでした。
つづく
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