詐欺/深水遊脚
事もなく今に至っている。恰好の笑い話のネタなので両親が帰ってきて早速その話をした。バカだなあ(笑)、警察に突き出してやりゃあよかったのに、と両親は言ったが、何の被害もないし面倒だし忙しかったし、それにうそがばれたくらいで動揺する相手ではないと直感していたこともあって、無視する作戦を咄嗟に選択したのだった。
その当時は詐欺の手口がまだまだ稚拙だったから、両親がでてもあのフィクションの私は演技に失敗したであろう。でもそのとき考えた。演技が稚拙でなかったらどうだったかと。稚拙でない演技をするために、どのようなスキルが駆使されるだろう。文学、演劇はスキルとして利用されるだろうと思う。もともと人をだ
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