地平線/結城 森士
 
盲目の地平に金属の悲鳴を響かせ
悲しみの影に歩みを合わせ
荒い呼吸を繰り返す
やがて風の音が消え
その夜空に星が瞬くことはない



彼は夜の影
螺旋階段を登っていく
頂上の鉄柵から幾千の雨粒が流れ出し
太陽に選ばれた黒い花を枯らす
盲目の地平に傘を差して下さい
孤独の中で震えている
沈鬱なシルエット

時折、裸足の重さを確かめる
悲しみは絶望の名の下に立ち止まり
旋回する全ての意識の中に広がっていく
そして黒い花は音も立てずに崩れ落ちていくのだろう



音という音が失われ
絶対的な声が失われ
僕達は絶望の名の下に流れ
涙に撃たれ
音もなく崩壊する
盲目の地平で
黒い花は何も言わずに崩れ落ちていくのだろう

声なき声

(どこへ連れて行くつもり)
(そうか 地平へ行くんだね) 
存在の

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