ミラーボールの夜 /服部 剛
 
仕事の後に
友のライブを見ようと駆けつけた 
ライブハウスがある
渋谷・ホテル街 

時折ぬるい夜風が吹いて 
娼婦(しょうふ)の亡霊が通り過ぎ 
地を這う鼠(ねずみ)が路地裏に滑りこむ
小路を抜けて 
灰色の壁に埋め込まれた扉を開くと 
階段下の地下に舞台があった 

天井に揺れながら回る 
ミラーボールが反射する床に 
無数の光の粒は流れる 

ギターを抱えた友は舞台に現れ 
「ホームタウン」という 
心に沁みる唄を弾き語るものだから 
「こもれび」というカクテルを飲み 
夕焼け色に染まった頬に 
銀の涙が伝って落ちた 

日頃の仕事を
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