我輩は藁である。  /服部 剛
 
霧雨の降る朝、老人ホームの先輩Aと後輩Zは、お年寄
りを迎えにゆく車内で肩を並べていた。(先輩、一日
何時間あれば足ります・・・?ぼくは、二十五・六時
間ほしいですね)(う〜ん・・・俺は一日十時間でい
いいなぁ・・・最近あんまり働きたくねぇんだよ) 
(そうですかぁ・・・じゃあ、今日はそんな感じで終
わるといいですねぇ・・・ぼくは午前土半なので、昼
飯配り終わったら、とっとと帰りますよ(笑))(い
ぃ〜や、今日はそんなにすっとはいかん。はよう家に
帰りたいと思う日にかぎって、なんやかんやと仕事は
こちらにやってくる・・・) 

時計の針は十二時半。昼食のお膳をすべて配り終え
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