ゆめまぼろし/山中 烏流
 
オレンジの三日月が
細やかな雨を降らす頃
私は屋根の上で
うさぎを探している
 
時計仕掛けの空は
星を降らしながら
ただ、じっと
佇んでいる
 
 
床に落ちている苺は
まだ、踏まないで
後で
ジャムにしたいから
 
冷蔵庫にあるバナナは
食べてもいいよ
どうせ
私は食べないと思うから
 
 
虹色の雲は
綿菓子よりも甘いから
ほら、見なよ
天使が食べにきてる
 
向こうの世界では
極上のおやつらしいよ
太らないし
虫歯にもならない
 
 
 (ひとときの
 
 (静寂が訪れる
 
 
何故か、淡いピンクの
月明かりに
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