ゆめまぼろし/山中 烏流
オレンジの三日月が
細やかな雨を降らす頃
私は屋根の上で
うさぎを探している
時計仕掛けの空は
星を降らしながら
ただ、じっと
佇んでいる
床に落ちている苺は
まだ、踏まないで
後で
ジャムにしたいから
冷蔵庫にあるバナナは
食べてもいいよ
どうせ
私は食べないと思うから
虹色の雲は
綿菓子よりも甘いから
ほら、見なよ
天使が食べにきてる
向こうの世界では
極上のおやつらしいよ
太らないし
虫歯にもならない
(ひとときの
(静寂が訪れる
何故か、淡いピンクの
月明かりに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)