パラレル/山中 烏流
 
窓ガラスに映る
鏡合わせの
パラレル・ワールドは
 
ありふれた物語を綴る
三流の映画を気取って
にやりと
笑みを、浮かべている
 
 
雨が降っている
 (陽が照っている)
 
私は、泣いている
 (笑っている)
 
 
機械的に変換された
文字を打つ、右手は
左手に変わって
 
そこに
万有引力は、無い
 
 
風が吹いている
 (息が止まる)
 
私は、目を逸らす
 (見つめる)
 
 
むしろ、そこに
私が
存在するのかさえ
 
分からない
分かりたくも、ない
 
 
 (全てが、反対だと)
 
 (そう言うのなら)
 
 
軽く、目を擦って
窓ガラスを
更に見つめた先に
 
私の姿など
世界の断片など
何処にも
見当たらなく
 
 
窓ガラスには、もう
ただの現実しか
 
映ることは、なかった。
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