黒点/銀猫
 
プラットホームに無数に付けられた
チューインガムの黒点が
未熟な夏の気温を
幾分か下げている気さえして
ぎんいろの屋根に逃げ込む

そこから視界に飛び込む紫陽花の
無防備な一片は
まだ薄緑を守っていて
わたしの感傷など
抱き留めるわけもなく
雨の青を待っている

こころに黒点を携えたまま
わたしは列車を待つ


空の端が
灰色に滲むのを

こころと色彩が
僅かに重なってゆくのを見たい

未成熟な生き様と
季節の僅かな隙とが
重なってゆくのを
ほうっと小さくため息をついて

ただ、見ていたいのだ



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