食欲の底/なかがわひろか
いよりはましだ
僕は警察署に着くまでずっとそれをしゃぶっていた
警察署に着くと
とても長い時間に渡っていろいろなことを聞かれた
どうして地球を軸を抜いたのか
警察にとって近所の人を食べたことより
そっちの方が気がかりなようだった
話が終わると
僕は牢屋に入れられて
一夜をそこで過ごした
夢の中で僕は続きの食事をしていて
とてもおいしそうに出来上がった料理を
一心不乱に食べていた
眠りから覚めると
僕は解放された
どうやら地球の軸を早々に戻したことで
僕には恩赦が出たようだ
僕はお腹が空いていたから
とてもとても空いていたから
何を食べようかと
考えている
(「食欲の底」)
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