サイコロを振る悪魔の掌/紫音
 
いま ここ いる
細部はどこまでも精緻

瞬間 空間 存在
断片は晴れ上がるほど精巧


  全体

 それは掴みどころなく
  霞を食べているよう
   仙人ではないけれど

認識が現実を規定するなら
君は囚われの僕に手を差し伸べるかい


  総体

 それは捉えどころなく
  ジェルを混ぜているよう
   エロスはないけれど


この手に触れることはできる
この足も触れることはできる

鏡像さえも曇らずに現れる


魂の形は無い



交わる飛行機雲
絡みつく蔦

電燈は不意にまばたき

たちまち世界を見失い

[次のページ]
戻る   Point(0)