犀川 /服部 剛
 
犀川の 
芝生の土手に腰を下ろし 
静かな流れをみつめていた 

午後の日のきらめく水面には 
空気が入ってふくらんだ 
ビニール袋が浮いていた 

近くで
ぴちゃりと魚が 
跳ねた 

背後の芝に
太った鳩が 
舞い降りた

午後の陽は雲に覆われ 
神社の宮の一番奥に祀られた 
まあるい銀のひかりになった

日常の疲れた自分を 
遠くの街に置いてきた 
旅先の川のほとり 

澄んだ空気を大きく吸って 
開いた本は芝生にのせ 
わたしは そっと 両手をあわす 







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