ある日/んなこたーない
 
Castelles "Heavenly Father" (1955)にのせて


しずかな夜が
狙撃手の黒い手袋を脱ぐと
映写機はひとりでに回りはじめる

そのときおれは
終日営業のレストランでひとり
憤然とサラダを咀嚼していた

亡命者と非亡命者が
偶然に出会い 偶然に抱擁を交わしあうなら
それがすなわち全世界である――

おれは鉛の味のサラダを飲み込み
フォークを皿に突き刺し笑う
「笑え 笑え Zizzy Zee Zum Zum」

笑え 笑え Zizzy Zee Zum Zum
やがてこの造花の街にも朝が来る――
そのときおれは 
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