白蝶 /
服部 剛
よく晴れた日
玄関を開くと
小さい向日葵(ひまわり)の植木鉢が
倒れていた
恋に傷つき震える
君のようで
ぼくは屈(かが)んで
倒れた鉢を両手で立てた
向日葵は少し、顔をひろげた。
自転車に跨(またが)り
水面(みなも)に零(こぼ)れた光の踊る
川沿いの道を走る
煌(きらめ)くせせらぎは
今日逢いにゆく
君のこころの川であった
一羽の白い蝶(ちょう)が
目の前の籠(かご)に落下して
ひととき楽しく舞ったあと
青空へ
還っていった
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